美咲の家

群馬県太田市
2022年2月竣工

木造平屋建て

91.91㎡(27.7坪)

外皮平均熱還流率UA値=0.41w/㎡・k

隙間相当面積C値=0.4cm2/㎡

認定長期優良住宅

地域型住宅グリーン化事業補助金170万円利用

~美しく咲く野花の如く、さり気なくも目を惹く端麗な和の佇まい~

前職時代から模索してきた鎌田のアイデンティティの詰まったデザイン『美咲造り』(→Concept)。その『美咲造り』の、弊社創業以来初めての設計施工物件。懐の深い庇、風合いを主張する天然木の仕上げ、外から内へのさり気ないつながり、これらが『美咲造り』のポイントです。

軒の出寸法1,365mmのどっしりと構える庇は落ち着いた雰囲気と”和”の風情を醸し出すと共に、夏季の日射遮蔽、また原則雨が掛からないという点で外装の美観維持に大きな効果を発揮します。

その軒天には天然木を使用。天然木ならではの風合いが趣のある外観を演出し、月日の経過と共に味わい深さが増していきます。

そして軒天材や面格子など、外装に使用している素材を内装にも使用。ごく自然に内から外へと視線をつなぎ広がりを強調しつつ、木のやさしい風合い、そして心地よい香りでくつろぎの内観を演出します。内観にはナラの無垢フローリングのほか天然の大谷石も採用。天然木の天井や面格子と相まって、より一層の風合いを醸し出しています。

また、外皮平均熱還流率UA値=0.41w/㎡・k、隙間相当面積C値=0.4cm2/㎡。冬季の南面において国内有数の日射量を誇る群馬県の特性を活かすべく配慮した、パッシブファーストな住まいとなっています。耐震等級3、長期優良住宅の認定も取得しました。

日本の建築には、歴史の中で受け継がれ、時代を経ても変わらぬ美しさを見せる様式美がある。その様式美を現代住宅に融合させ、住まい手はもちろん、「外観は公共の財産」である事を念頭に、周囲からも愛され、これまで受け継がれてきた日本建築の美しさや文化を継承させていく住まいとなり得るよう願いを込めた。

緩やかなカーブを描き、奥行と落ち着きが感じられるアプローチ。雑木の木々は道路からの目隠しの役割を持つほか、そのアプローチを充実させて客人をもてなす。インターホンを押してからの適度な歩行距離を確保する事で、訪れた人には気持ちを切り替える暇が与えられる。

建築化した物干しを含め、整然とした水平ラインの構成により、シンプルで中庸な佇まいに。南西面の遊歩道(現在整備中)を含め、三方が道路に囲まれた開放的な敷地であるため、造園計画においては街並みのオアシスとなるような雑木の庭に。

軒の出を1,365と深くする事で日射をコントロールする事はもちろん、よほどの事が無い限りは外壁面に雨掛かりが無いものとしている。外観上の特徴ともなるその軒裏には、風合い豊かな天然木の羽目板をふんだんに使用した。

軒を深くする事で、よほどの事が無い限りは外壁面への雨掛かりが無いものとしているため、これにより軒天のみならず、天然木の面格子や風合い・質感に優れた外装仕上げの採用を可能とした。

ファサードのアイキャッチとなる風合い豊かな天然木の面格子。夏季の、日の出とともに北東の横方向から差す強烈な日射を遮蔽し、午前中の冷房負荷低減に寄与する役割も持つ。

現在整備中ではあるが西側は遊歩道。散歩する人通りの多さが想定されるため、夏季の強烈な西陽を内部に取り込まないと共に、外部からの視線も黙殺できる窓計画とした。

シャープな軒先の美観を損なわぬよう雨樋を設けていない。代わりに軒先直下に小川に見立ててた雨落ち場を配した。樋の詰り等の維持管理の容易性にも一役。

小川に見立てた雨落ち場はタイル床のテラス部分にも通している。軒先から滴る雨のカーテンが安らぎの風情を醸し出す。

内外どちらから見ても美観を損なわぬよう建築化した物干し。水平ラインで構成された中庸な佇まいに違和感なく溶け込む。

伸びやかな軒天と天井を同一仕上げ・同一レベルで連続させ、視線を外部に誘導する事で水平方向の拡がりを強調。同時に内外の境界を曖昧にすることで、開放感と共に光や風、四季を通じた植栽の変化など、自然を身近に感じられるLDK。

キッチンに立ち正面を向いた時の風景。ふと視線を上げればくつろぐ家族の様子が伺えるだけでなく、視線が抜ける奥の和室の窓の外には緑が覗く。

正面だけでなく、ふと視線を移せばキッチンからでも自然を十分に感じられる。一人で家事をしていても合間に安らぎが得られるよう配慮した。

北側隣家に配慮し、採風用の小窓以外に大きな窓を設けていないダイニング。天窓を設置する事で十分な採光が得られるものとした。

和の美学、”陰影”を描く素材として、厚みを変えた大谷石と面格子を採用。大谷石の熱容量と保水性にも期待、面格子は柔らかに空間を仕切る。

複数の役割を持たせた小上がりの和室。照明の重心を低くし陰影をつける事で、落ち着きのある和の美学が感じられる空間とした。

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アルコーブ~玄関内の天井、その先に見えるテラスの軒天と、同一仕上げ・同一レベルで連続させる事で、ごく自然に視線をいざない住まい手と客人を迎える玄関。

洗面室=脱衣室であり、化粧室にもなり洗濯室にもなり得る。往々にして化粧台だけでは収納力に乏しいため、洗面室に隣接して、脱衣室・洗濯室を兼ねた納戸を併設した。

洗面室・脱衣室を含め、西側(遊歩道側)にまとめた水周りはすべて高窓に。十分な採光が得られる一方、外部からの視線は黙殺できるよう配慮した。

おまけ。集約して建築化した各種リモコン類。携帯電話の充電もこちらにて。

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